美容室開業で融資を受けるために必要なこと

美容室を開業するためにはどのくらいの資金が必要で、融資を受けるためにはどんな点に注意をすればよいのでしょうか?

美容室の開業資金

日本政策金融公庫、創業の手引+では、美容室の物件や内装、設備費などさまざまな準備にかかる費用の相場として1,000万円前後といわれています。内訳は主に以下のようになっています。

物件取得費用

美容室となる物件にかかる費用です。

内装工事費用

物件の内装の工事にかかる費用をさします。

美容器具の購入費用

スタイリングチェアやシャンプー台など美容室特有の器具となります。

設備費

美容器具以外の設備で、PCや洗濯機、レジなどがあげられます。

材料費

材料費にはシャンプーやトリートメント、カラー剤、タオルなどが含まれます。

運転資金

独立開業から軌道にのるまでの約半年ほどの運転資金を確保しておくことが安心です。

このように美容室を開業するためには、サロンのための設備投資をおこない、一定期間の運転資金も持っていることが必要となります。

融資をうけることができる機関

美容室開業の際に融資を受けることができる機関にはどのようなところがあるのでしょうか。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は政府系の金融機関です。美容室の開業では日本政策金融公庫を目指しましょう。無担保、無保証で借入れすることができます。本人に担保がなく、保証人がいなかったとしても、状況に応じて融資をおこなってくれます。また、無担保、無保証のため、審査もシンプルとなり、審査から融資の決定、入金までの期間が短く約1ヵ月もあれば簡潔することができます。そして金利が低いという点も大きなメリットといえます。さらに若者、女性起業家の制度を利用したり、美容組合に加入したりすることでもっと低金利での借入れが可能になります。

制度融資

制度融資は自治体の協力のもと融資がおこなわれます。地方自治体と金融機関、信用保証協会の3者が連携しており、中小企業が金融機関から融資を受けやすくするための制度に基づく融資です。地方自治体が銀行と信用保証協会に対して金利や保証料を補給します。行政のサポートを受けた銀行は低い金利で開業者に融資をおこなうことができるため、日本政策金融公庫よりもさらに低金利で借入れが可能な場合があります。一方で、自治体、銀行、信用保証協会の三者が関係することによって審査に時間がかかってしまいます。また、制度融資では、営業許可を得て初めて入金される場合が一般的となるため、開店のための資金調達には不向きであるということになります。

民間金融機関

民間金融機関ではプロパー融資と保証付き融資の二つに分かれます。プロパー融資は、金融機関側が返済不可能になった場合のリスクを取るため、審査が非常に厳しく設定されています。つまりある程度の実績がないと借入れすることができないということになります。そのため開業者は保証付き融資を申請することになるでしょう。保証付き融資は、信用保証協会の保証をつけた融資のことで、開業者はまず信用保証協会からの保証を得ることからはじめなければなりません。

融資を受けることができる機関をいくつか紹介しました。開業による融資では、日本政策金融公庫を利用することが一番現実的です。融資を受けるために事前の準備をしっかりしておくことをおすすめします。

融資を受けるために必要なこと

一人サロンの場合でも開業には多くの資金が必要となる美容室の開業では、融資を受けることによって資金を調達することが一般的となっています。融資を受けるにあたり、どのようなことが必要となってくるのかを説明したいと思います。

自己資金を増やす

自己資金がゼロという状態で融資をおこなってくれる機関はほとんどありません。例えば、日本政策金融公庫では、応募の要件の中に、総投資額の1/10以上が自己資金であることが明記されています。最低でも総投資額の1/4程度は自己資金があるような状態ににしておくと安心でしょう。財務状況を確認して、十分に自己資金が確保できないならば、自己資金を増やすことから始めます。

信用情報を把握する

融資の審査では、開業者の信用情報をみられます。クレジットカードやローンの引き落とし、税金などの支払いなどの状況を把握しておく必要があります。融資担当者は、しっかりと返済できる人であるかどうかを見極めます。したがって、支払いができなかったり、遅れたりするものがある場合には信用情報に不安があるとみなされてしまいます。

面談の準備

面談の際には以下のようないくつかの資料を提出する必要があります。余裕をもって面談を受けるためにも必要な資料は前もって手元に用意しておくとスムーズです。

  • 身分証明書
  • 美容師免許(管理美容師免許)
  • 源泉徴収票
  • 住まいが賃貸の場合、賃貸借契約書
  • ローンがあればローン返済予定表

事業計画書

事業計画書では、現実的であること、実現可能性が高いこと、数字による裏付け、などに基づき作成することが有効とされます。売上や利益の計画を具体的に記載します。書式が決められていることもありますが、それぞれにできるだけ詳細に説明することが重要です。創業の動機、経営者の略歴等、取扱商品、サービス、取引先・取引関係等、従業員、借入の状況、必要な資金と調達方法、事業の見通しなどをアピールし、根拠のある数字によって明確に示すことを目指しましょう。しっかり返済計画が見通せることを伝えることがポイントとなります。また事業計画書の他には以下のような書類が求められる場合があります。

試算表 月ごとの集計をまとめた表です。
資金繰り表 お金の動きとなるものをまとめたもので、実績と今後の資金繰り計画を記載します。
損益計算書 売上と費用、利益をまとめた書類です。
貸借対照表 事業の資産と負債をまとめた書類です。
銀行との取引履歴 銀行ごとに借入金や預金残高などの記載です。
納税証明書 所得税や住民税の納税を証明できるものです。
その他 本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)、印鑑証明、収入証明など

まとめ

美容室開業には1,000万円~それ以上の資金が必要です。他の業種と比較しても美容室は開業にかかるコストが高額になる業種であると言えるでしょう。初期投資が高額になるということは、融資の審査も厳しくなります。何度も融資の申し込みをすることはできませんので、一度の申し込みで融資を可能とするためにしっかりと準備をしましょう。