美容師の独立、開業に必要な費用や平均年収をチェック

独立、開業する美容師が増えています。

美容師の独立

美容師なら将来は独立して自分のお店を持ちたいと考えるのではないでしょうか。独立することで、自分の世界観をだすことでより働きやすい環境となります。独立にはさまざまな方法がありますが、まずは1人で独立するにあたって必要な費用や年収について解説します。

独立開業に必要な費用

独立や開業にあたりどれくらいの資金を準備しておくべきなのかを知っておくことは、今後の目標に近づくために必要なことです。日本政策金融公庫によると、創業の手引+にて、美容室の物件や内装、設備費などさまざまな準備にかかる費用の相場として1,000万円前後という発表をしています。その内訳をみていきましょう。

物件取得費用

美容室となる物件にかかる費用となります。店舗の広さや立地などで物件の相場は変わりますが、予算の15%〜30%程度を見積もっておく必要があります。以下は例となります。

店舗保証金(敷金) 家賃3~12ヶ月分
礼金 家賃1ヶ月分
仲介手数料 家賃1ヶ月分
前家賃 家賃1ヶ月分

内装工事費用

予算の50%ほどを見積もっておく必要があります。内装工事は物件の種類、また広さによって費用が変わります。内装工事には天井や床、壁の工事の他に、給排水や空調、電気、ガスなどの設備工事も含まれます。それに美容室特有のシャンプー台などの内装工事が加わります。

また物件の種類によって内装工費用が変わります。スケルトン物件では、一からすべての設備を設置することができ、自由度は高いですが工事費用が高くなる傾向があります。一方で居抜き物件の場合には、以前の入居者の設備をそのまま使うこともできるため、工事費用を抑えることが可能です。ただし経過年数が長いと設備の老朽化がある可能性もあります。

美容器具の購入費用

美容機器とは、スタイリングチェアやシャンプー台のことです。設置する数量によって費用は変わります。

設備費

美容器具以外の設備のことで、PCや洗濯機、レジなどがあげられます。

材料費

美容室で使用する材料費はシャンプーやトリートメント、カラー剤、タオルなどです。これらはコンセプトに沿ったメニューによって必要なものが変わってくるため、仕入費用もさまざまです。

広告宣伝費

オープン前の宣伝が非常に重要といえる美容室では、チラシや広告掲載などの方法も効果的ですが、費用を抑えたい場合にはSNSや美容室のサイトを有効活用することをおすすめします。

運転資金

独立開業から軌道にのるまでの約6ヵ月分くらいの運転資金を確保しておくことが安心です。

独立開業には上記のような費用がかかることを念頭に計画的に資金を用意する必要があります。開業する地域や立地、店舗の規模や設備などによっても資金額は大きく変わります。物件の検討、資金調達の準備は遅くとも約1年前から始めるといいでしょう。

開業資金について

それでは、独立開業に向けての開業資金はどのようによういしたらいいのか、まずは美容師の現状を知っておきましょう。

一般的に、美容師の平均年収は200万円台後半~300万円台だと言われています。これは、厚生労働省が公表している「令和2年度賃金構造基本統計調査」による調査結果となっています。美容室の独立開業にかかる費用は1000万円前後といわれているなかで、資金を準備することは容易ではないことがわかります。

実際には融資を利用し、自己資金の不足分を補填する場合がほとんどだと考えられます。自己資金は開業資金の約1/4程度、200~300万円ということが多くみられます。自己資金以外は銀行からの融資を受けることになるわけですが、融資金額の目安は、自己資金の2~3倍だと考えてください。

つまり、300万円の自己資金がある場合、融資と合わせることで1,000万円の資金調達も可能であるということになります。また助成金を活用して開業資金を賄うケースもあり、トライアル雇用助成金や人材開発支援助成金を利用できる可能性もあります。

独立開業したあとの平均年収とは

多くの美容師が独立開業を目指す理由のひとつに年収アップがあるでしょう。

サロン経営にかかるコストは、一般的に人件費35%、材料費10%、家賃10%、販促費10%、その他の雑費15%と言われています。つまり、売上高の80%が経費となり、オーナーの収入になるのは20%前後です。

スタッフを雇わない一人美容室の場合には、人件費がかからないため、人件費の35%も手元に残るようになります。

売上が100万円で計算した場合、1人のみで営業していれば55万円が月収となり、年収は660万円となり、サロンで勤務していたときと比べると大きな年収アップとなります。独立後の年収でこの平均額を超えるには、月の収入は29.1万円を超える必要があり、月間売上高は53万円ほど必要となります。1日あたり2万~2.5万円ほどの売上が必要という計算になるのです。

またスタッフを雇った場合には、20万円が収入に充てられる計算となり、20%がオーナーの収入です。月間売上は146万円必要で、1日あたり6万~6.5万円ほどの売上が必要となります。

もちろんこれらの数字には、営業日数や雇う従業員の人数によっても変動するため、あくまでも参考としてください。

まとめ

美容師の独立開業にはまとまった資金が必要となります。また開業前に限らず、無事に開業したあとも資金繰りや資金調達に苦労する経営者が多いのも事実です。独立や開業が必ずしも年収アップにつながるわけではないということを覚えておき、計画的にすすめるようにしましょう。