店舗のスケルトン工事とは?作業内容と費用相場

スケルトン工事ではどのようなことをするのでしょうか。作業内容とかかる費用の相場を紹介します。

スケルトン物件とは

スケルトン物件とは、居抜き物件とは反対に内装が何もない状態、つまりコンクリートの打ちっぱなしの物件となります。この場合は契約後に、一から内装を整える必要がありますが、設備やレイアウトを自身の好みに合わせて自由に変えることができるというメリットがあります。

スケルトン工事とは

建物の骨組み以外を全て、壁や天井、床、設備、水道配管、電気配線まで解体して撤去して解体する工事のことをさし、スケルトン解体ともよばれます。

店舗やオフィスを契約したときの状態がスケルトンだった場合には、退去時には原則スケルトン解体となり、物件を引き渡さなければいけません。基本的には入居時と同じ状態にするため、原状回復工事の一つとも考えられています。スケルトン工事をすることで、入居時と同じ何もない状態の物件になります。

つまりスケルトン工事とは、何もない状態にする内装解体工事のことだと理解しておきましょう。スケルトン工事を必要とする理由に原状回復が関係していることがわかります。スケルトン工事をおこないたくないという場合には、居抜き物件を探し、契約をする方法があります。またオーナーあらかじめ交渉することで、居抜き物件での退去が可能となる場合もあります。

◎スケルトン工事の作業内容
スケルトン工事の場合は、床や天井、壁、設備、水道配管、電気配線を全て解体して撤去し、骨組みだけの状態にします。建物の構造物以外の全てを解体する工事となるため鉄筋コンクリートの物件である場合は、コンクリート打ちっ放しの状態となります。

スケルトン工事では撤去するものが多ければ多いほど費用も高くなる傾向があります。撤去するものというのはさまざまで、壁の断熱材、床材、設備、LGSやパーテーション(間仕切り)、電気、配線などが代表的なものとしてあげられます。

また工事によって解体された内装などは全て産業廃棄物として処理されることとなっており、作業時に出る産業廃棄物の量は通常の内装解体工事よりも多くなります。産業廃棄物は粗大ごみの中でも処理費用が高く設定されていることから、処分費用の高い廃棄物が大量に出る可能性があります。

スケルトン工事の流れ

スケルトン工事を施す際のおおまかな流れを説明します。参考にしてみてください。

ステップ1

解体業者や内装工事業者と綿密な打ち合わせをおこないましょう。工事日程、工事の進め方だけでなく、現地の調査などをしっかりとおこなってくれる業者を選ぶことが重要です。書面での契約書を作成しておくこともトラブル回避のためのポイントとなります。

ステップ2

工事日程に合わせて解体工事が始まりますが、足場の作成や共用部分の養生などを施す関係もあり、業者が周囲への連絡や挨拶をおこなってくれます。

それらが終わると入居時に設置した設備を解体し運搬することから始まります。そして内装材や床材、壁材などを解体し、徐々にスケルトン状態に戻していくこととなります。

ステップ3

すべての内装の撤去が終わると、産業廃棄物の撤去作業となりますが、産業廃棄物は許可を得ている業者による作業と決められています。必要な書類を提出したうえで、適切な処理をおこなっていきます。

ステップ4

すべての廃棄物の処理が終わったら、原状回復のための清掃をおこないます。

スケルトン工事の費用相場

スケルトン工事の費用は、3~5万円/坪前後が一般的な相場といわれています。飲食店や美容院などの場合、設備が多く撤去後の廃棄物処理に時間がかかるため、相場よりも費用が高くなる傾向にあります。建物の大きさによって、スケルトン工事にかかる費用は変わってきます。建物の延床面積が広ければ広いほど、坪単価費用は高額になります。

また立地条件によっても費用の差が発生する場合があります。店舗が2階であったり、複雑な構造をしている場合には相場よりも高くなる可能性があると考えておきましょう。

スケルトン工事によるメリットとデメリット

スケルトン工事をおこなうメリットとデメリットを理解しておきましょう。

メリット

自由度の高さ

契約の範囲内であれば、一からデザインやレイアウトを自由に設計することができ、店舗もオリジナリティを発揮することも可能となります。天井、床、壁などの内装を希望の形として作りあげることができるといった点で大きなメリットといえるでしょう。

厨房や客席スペースの動線も無駄なく、必要な設備をそろえられ、すべてを店のコンセプトにきっちり合わせることができるのは大きな魅力です。

設備のトラブルが起こりにくい

スケルトン工事では居抜き物件とは違い、建物の中に何もない状態となります。残された設備を使用するわけではなく、新規で購入したものや今まで使用していたものを持ち込んで使用することになるため、設備のトラブルが起こりにくいといえます。

また厨房機器や排気設備なども最新のものを導入することで作業効率のアップや人件費の節約につながるといったメリットがあげられます。

デメリット

初期費用、補修費用がかかる

内装や設備をすべてそろえることとなるため、費用がかかります。飲食店などの厨房機器などは高価なものも多く、新しいものを導入するとなると大きな出費となってしまいます。また内装工事が複雑であればあるほど、退去時のスケルトン工事も費用がかかるといった特性もあります。

スケルトン工事は、工事中に構造体や共有部分に破損した部分を見つける場合があり、補修をすることになった場合にはそれらの費用も発生することとなります。

このほかにも、作業中に給排管、配線、共有部分にダメージを与えるようなトラブルや、近隣店舗や住宅と粉塵・騒音・振動によるトラブルが発生することもあります。

時間がかかる

なにもない状態にもどす工事となるため、ひとつひとつの工事工程に時間がかかることが考えられます。業者との打ち合わせを含めると、工期は最低でも1か月はかかるでしょう。それらを考慮したうえで、計画的に動くことが重要となります。

スケルトン工事の際の注意点

スケルトン工事は自身でおこなうことはできません。そのため業者に依頼することになります。依頼する際は、まずその業者がスケルトン工事を多く手掛けているかどうかが重要なポイントになります。スケルトン工事の実績が多くあれば、作業にも慣れていることが伺え、スムーズに工事を進めることができます。

また解体をするときに出る廃棄物を適正に処理することができる業者であるかという点を、あらかじめ確認しておく必要があります。複数の業者からの見積もりをとり、信頼できる業者を見つけることがポイントとなります。

まとめ

スケルトン工事は、建物の骨組みを残し、それ以外を全て取り払う大規模な内装解体工事となるため、店舗の移転や退去時におこなわれることの多い工事です。工事の内容や費用、メリットデメリットを理解して把握しておくといいかもしれません。