居抜き物件とは

近年よく耳にする居抜き物件とはどのような物件なのでしょうか。

居抜き物件

もともと存在した店舗の家具や設備などがそのまま残った状態で不動産物件を他の者に売却したり、貸し出されている物件のことで、すでに設備が整っている状態で賃貸契約の募集がされている物件のことになります。

以前の事業主が使用していた設備をそのまま使用することができるため、新しくテナントに入るときに内装にかかる初期費用を抑えやすくなります。

調理設備、空調設備、給排水設備、床、壁、天井の内装やカウンターだけでなく照明、テーブルや椅子、造り付けの棚などの家具など、どの程度が残されているかは物件により変わりますが、それらをそのまま使用することが可能となるわけです。

ただし、内装が整っている状態であっても業種のイメージとかけ離れていたり、自身の希望するデザインと異なっている場合には、設備の撤去や内装工事のやり直しなどをおこなう必要があります。変化が加速する現代において、居抜き物件はリスク要因をカットできる出店形態として、より注目されるようになっています。

居抜き物件のメリット、デメリット

注目の集まる居抜き物件ですが、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

メリット

費用の大幅カット

最大のメリットは、さまざまなことにかかる費用の節約です。飲食店の開店の場合をみてみると、一般的に工事費は、40万円/坪前後といわれています。
さまざまな設備をそのまま使用できる状態で、30坪のテナントなら、450万~900万円ほどで済むと考えられます。色々な設備を導入したり、設置したりするだけでも大きな出費となるため、特に初期費用を抑えたいと考える場合には居抜き物件は魅力的といえます。

工事期間の短縮

居抜き物件の場合、だいたいの設備が完備されている場合が多いため、大きな内装工事を施す必要がありません。内装のイメージを変えるために壁紙や床の張り替えをおこなったり、照明器具の取替や設置、トイレや洗面台の取替などが主におこなわれる工事内容となります。店舗の広さにもよりますが、工事内容が小規模であれば、数日で終了することもあります。

スケルトン物件よりも、市場に多く出回っている

今は特にコロナ禍の影響もあり居抜き物件が多く出回っているという現状があります。希望に合う条件の物件も見つけやすい状況がうまれており、気に入った物件で契約ができれば、初期費用をかけることなくすぐに開業できるといったメリットもあります。居抜き物件を契約するときに必要なのが、

集客しやすい

以前そこにあった店舗に通っていた顧客を取り込みやすい環境となり、集客につなげやすいメリットがあります。店舗の場所によっては、業種に関わらず足を運んでくれる機会が増えるということです。

デメリット

前テナントのイメージが残る

以前の店舗がどのような理由により、そこを離れたのかを契約前に知っておくといいかもしれません。あまりいい評判ではなかった場合には、そのイメージが付きまとってしまう可能性があります。それらは集客に影響を与えることがあり、売り上げの減少となってしまうことも考えられます。以前の店舗の閉店が物件の立地が理由の場合には、契約を見直した方がいいでしょう。

経年劣化などで、前の設備が使えないことがある

以前の設備や家具、内装を使用することができることが居抜き物件の特徴であり、メリットではありますが、そこにも注意が必要です。以前の入居者がどれくらいの頻度で設備を使用していたのか、使用年数はどれくらいなのか、によって経年劣化がみられる場合があります。劣化の激しい設備では、故障などにより修理や買い替えなどを検討する必要があります。新しい設備を導入する費用を抑えることができたとしても、修繕費がかかってしまうことがあるという点に気を付けておきましょう。

内装やレイアウト変更の自由度が低い

居抜き物件では、もともとの内装を活かしたレイアウトが必要となります。希望の内装ではない場合には、オーナーの了承を得たうえで工事費を支払い変更する方法がありますが、費用を抑えたい場合にはあまりおすすめできません。

居抜き物件はこんな場合におすすめ

居抜き物件は、おおきな内装工事が必要ないため時間がかからない場合がほとんどです。つまり、できるだけ早くお店をオープンしたいという希望がある場合や、開店までの期間が短い場合などにおすすめの物件といえます。契約をおこない、数日後にはオープンすることも可能なのです。

居抜き物件の最大のメリットは極端に高い費用がかからないという点です。初期投資額や予算が少ない、店舗の初期費用を抑えたいという場合には、最適の物件といえるのです。

店舗のオリジナリティや個性に特に強い希望がないという場合にも居抜き物件はおすすめです。以前の内装をそのまま使用できるため、内装にこだわりがなければそのままオープンすることも可能です。ただ以前あった店舗との違いがわかりずらくなってしまうため、なにかアピールする方法が必要となります。

居抜き物件の注意点

居抜き物件を契約する際の注意点を確認しておきましょう。

造作譲渡

造作譲渡料とは居抜き物件に残されている内装や設備などを利用するには、それらを買い取る必要があるという契約の際にかかる費用のことです。内装や設備をそのまま利用できるのが居抜き物件最大のメリットですが、居抜き物件の中には、造作譲渡料を求められるケースがあるのです。

リース契約

空調設備や厨房機器など、店舗内に残されている内装や設備がリース契約となっている場合があります。リース契約されている設備を把握すること、それらが正常に作動するのかをチェックすること、リース契約の内容(契約年数や残額など)を正しく理解しておくことが重要です。

居抜き物件そのものの契約

賃貸契約や設備に関する契約、修繕費などの負担、特記事項や物件の内装が今後どれくらい使用可能なのかを含めて、オーナーとしっかり話し合いを進め、不明な点はあらかじめ明確にしておくことをおすすめします。

居抜き物件での店舗内装工事費用

もともとの設備や家具をそのまま使用することができるため、店舗改装の初期費用を抑えることができますが、リフォームの程度によって価格が変わります。

居抜き物件での相場は坪単価 : 15万円~30万円といわれています。予算などを考慮しながら優先的に工事をすすめたい箇所をしぼっていきましょう。

まとめ

居抜き物件は上手に利用することで大きなメリットが得られます。しかしながら引き継ぐ内装や設備はいわゆる中古となります。経年劣化やや破損、不具合などに注意し、契約前にあらかじめチェックしておく必要があります。また立地や条件がよくても、業種に合う内装であるか、そのまま使用できる設備かどうかなども慎重に考えましょう。居抜き工事を専門とする業者に物件探しから工事までを依頼するのもひとつの方法です。